植田爽介 ・田中岳舟 二人展「不可視の痕跡」【東京】

2026年2月26日(木)〜3月22日(日)

YUGEN Gallery 4周年展後期として、版画作家・植田爽介と書道作家・田中岳舟による二人展を開催します。脳神経回路とスマートフォンという現代的視座を通して、版画と書が時間・身体・思考の見えない痕跡を可視化します。

Exhibition Information

Venue

YUGEN Gallery
KD Minami Aoyama Building 4F, 3-1-31 Minamiaoyama, Minato-ku, Tokyo

Dates

2026年2月26日(木)〜3月22日(日)

Opening Hours

Weekdays: 13:00-19:00
Weekends and holidays: 13:00-20:00
*Ends at 17:00 on the final day only

Closed Days

None

Reception

レセプション:2月28日(土)17時〜20時

Date of presence

未定

Admission Fee

free

others

※在廊日やレセプションについて、最新情報は随時こちらで更新いたします。

Exhibited works images

植田爽介《思考の残穢、或いは潮騒》2025
植田爽介《思考の残穢、或いは潮騒》2025
田中岳舟《2026.1.15 -メール-》2026
田中岳舟《2026.1.15 -メール-》2026

Statement

YUGEN Gallery(東京都港区南青山3-1-31 KD南青山ビル4F)は、2026年2月26日(土)より、開廊4周年記念展〈後期〉「不可視の痕跡」を開催いたします。版画作家・植田爽介と書道家・田中岳舟による作品で構成されます。

本展は、版画と書という異なる表現を通して、目に見えない時間や行為の層を見つめる試みです。版画は工程の蓄積によって時間の重なりを定着させ、書は身体的行為によって痕跡を刻みます。両者はそれぞれに「積み重ね」と「瞬間」を内包しながら、不可視の痕跡を画面上に立ち上げます。

植田爽介|脳神経回路を軸とする制作

植田の制作において、脳神経回路シリーズ《imagination Series》は重要な軸をなしています。本シリーズでは、MRIおよびMRAによって測定された自身の脳のデータを基に、神経回路や血管構造をモチーフとして版画で再構築します。

あわせて展示される《imagination Series》の発展系である《imagine Series》では、動物の写真と製図用文房具の写真を組み合わせ、有機的存在と無機的存在が交錯する不定形なフォルムを生み出します。ここでもまた、異なる秩序が交差し、構造が浮かび上がります。

田中岳舟|媒体の変容と書の身体性

田中は、書が担ってきた「記録」「伝達」という役割を、現代のメディア環境の中で問い直します。

本展では、スマートフォンを媒介とした複数の作品を展示します。キーボードを想起させる画面を支持体に見立て、その上に「タイプする痕跡」を書として残します。スマートフォンの普及により、「画面」は触れて操作する存在へと変化しました。田中は「映像と画面」と「作品と額」の関係を重ね合わせ、画面の意味の変容を額上の痕跡として提示します。

また、スマートフォンを筆に見立て、空中に文字を書く行為をビデオで記録し、そこから抽出された画像を作品として定着させる試みも発表します。反復の中から選び取られる一枚は、書における身体性と決断の構造を、現代的媒体を通して再考するものです。

異なる方法、ひとつの問い

植田と田中の実践は、扱う素材も制作の起点も大きく異なります。しかし両者が向き合っているのは、時間と身体、思考がどのように痕跡として定着するのかという共通の問いです。

植田は、自身の脳神経回路をモチーフに、思考や記憶が結び直され、循環し、再編成される過程を版画の工程によって重層的に構築します。版を重ねる行為は、時間を蓄積し、圧縮し、構造として画面に固定するプロセスでもあります。彼の作品において、時間は厚みを持った層として現れます。

一方、田中は、書という行為が現代の媒体環境の中でどのように変容しているのかを問い直します。文字を書く行為は、画面への入力や記録へと姿を変えましたが、最終的に作品として残るのは、選び取られた一瞬の身体的痕跡です。時間は反復のなかで蓄積されながらも、決断の一点へと凝縮されます。

しかし、この差異は単純な対立ではありません。

書は一瞬の芸術と見なされがちですが、その一枚は幾度もの試行と反復のうえに成立しています。同様に、版画は工程の蓄積によって像を形成しますが、刷りや剥がしの局面には決定的な瞬間が存在します。

版画においても書においても、時間は「重ねられる」と同時に「切り取られる」。植田の版画では、時間は主として層となって画面に沈殿し、決定の瞬間はその蓄積の臨界点として現れます。田中の書では、時間は主として一瞬へと収束しますが、その背後には見えない反復の層が横たわっています。

工程に分散する身体と、一点に集中する身体。持続としての時間と、凝縮としての時間。両者は時間の構造において異なる傾きを持ちながらも、目に見えない思考と身体の緊張を、作品という形へと定着させています。

「不可視の痕跡」とは、重ねられた層であると同時に、選び取られた瞬間でもあるのです。

Sosuke Ueda
Sosuke Ueda
Sosuke Ueta
He attempts to transcend fields by using printmaking as a starting point for his images, noting that printmaking has multiple aspects through printing (copying) and elements of both painting and design. In the process and practice of his work, he reconsiders the relationship in which humans and nature coexist side by side, as in the Seto Inland Sea, which is his original landscape, and attempts to visualize this using the industrial aspects of printmaking and reproduction techniques, as well as the visual differences that arise from each material.
Takeshi Tanaka
Takeshi Tanaka
Gakushu Tanaka
Born in Fukuoka in 1990. He started calligraphy because he was left-handed, and while being influenced by traditional and avant-garde calligraphy, he is exploring "things made of calligraphy" in a modern way. He also develops works based on architectural drawings and smartphone cameras. His main exhibitions include "ART SHODO EDGE" (2023), "Planning #2", "GENGO Exhibition" (2024), and "Congentecton" (2025).