EVENT REPORT

【開催レポート】書の新たな地平を拓く対話 ——企画展「書の地形学」トークイベント

YUGEN Galleryにて、2025年5月10日(土)に企画展「書の地形学」の関連企画としてトークイベントを開催いたしました。

「書の地形学」展は、現代美術としての「書」に焦点を当て、山本尚志、AKIKO、Kazumi Okamoto、田中岳舟の4名の作家による多様な表現が紹介されました。モノへの名付け、オノマトペ、言語の解体といった手法を駆使した作品群からは、書に内包される“記号性”と“風景性”の接続点が立ち上がり、多くの来場者を魅了しました。

展覧会の理解をより一層深めていただくため、会期中の5月10日(土)に関連企画としてトークイベントを実施いたしました。 

会場様子
会場様子
左から右(敬称略):土田祥ノ介、清水穣、山本尚志
左から右(敬称略):土田祥ノ介、清水穣、山本尚志
展示風景
展示風景
《Pink Noise》AKIKO
《Pink Noise》AKIKO
《Non-material Existence D-3, Infinite Ⅱ》Kazumi Okamoto
《Non-material Existence D-3, Infinite Ⅱ》Kazumi Okamoto
《Elevation-Chi-》田中岳舟
《Elevation-Chi-》田中岳舟

清水穣氏 × 山本尚志氏による対談

トーク当日は、司会進行を本展キュレーターの土田祥ノ介が務め、美術評論家・清水穣氏と出展作家 山本尚志氏による対談が行われました。

トークでは美術評論家・清水穣氏が、戦後の前衛書運動から現代に至るまでの「書」について、美術批評の観点からその展開や意義を紹介しました。

続いて出展作家・山本尚志氏が、自身の制作背景を交えつつ、現代美術のフィールドにおける「書」の再定義や、記号性と造形性、言語性と視覚性の間を行き来する表現としての可能性について語りました。

また、両氏の対話では、「現代美術としての書」の発展やその未来性についても議論が交わされ、批評と制作、理論と実践が響き合う貴重な場となりました。

出展作家3名による作品紹介

トークの後半には、その他3名の出展作家であるAKIKO氏、Kazumi Okamoto氏、田中岳舟氏も登壇し、自身の作品やアート書道への考えを紹介。

AKIKO氏は、オノマトペを用いた記号による匿名化された心象風景について説明。Kazumi Okamoto氏は、「音に“カタチ”を与える手段」として書を捉え、不可視な存在を形象化する試みについて語りました。田中岳舟氏は、ドローイングとしての書を意識し、二次元と三次元性の両立を目指した作品制作について紹介しました。

書の多様な可能性を感じる機会に

展覧会とあわせて開催された本トークイベントは、従来の「書」の枠を超えた多彩なアプローチを提示する場となり、来場者からも好評を博しました。

展覧会「書の地形学」は2025年5月12日(月)をもって会期を終了いたしました。

会期中、多くの方々にご来場いただき、誠にありがとうございました。

なお、展示作品はYUGEN Gallery公式サイトよりご鑑賞・ご購入が可能です。

ぜひ引き続き、作家たちの新たな「書」の表現にご注目ください。

ABOUT ARTIST

AKIKO
AKIKO
オノマトペとしての書を通じ、音や映像の感覚を画面に呼び込み、言葉の深い理解と共有を探求する。主な展覧会に「Guitar without distortion effector」(2022年)、「ART SHODO TRIAL」(2023年)、「ART SHODO MDP SELECTION Vol.1」、「ARTFUL INK SHOWCASE」(ともに2024年)など。
Kazumi Okamoto
Kazumi Okamoto
書家・現代アーティスト。神戸市出身。日本女子大学卒業後、京都芸術大学に在籍中。モナコ・日本国交樹立10周年記念事業芸術創造賞(2016年)など受賞多数。主な展覧会に「おもしろい書展」(東京都美術館)、「タガワアートビエンナーレ」、「音で聞く言葉のカタチ」個展(いずれも2024年)など。作品はモスクワのThe World Calligraphy Museumに収蔵されている。
田中岳舟
田中岳舟
Gakusyu Tanaka
1990年福岡生まれ。左利きがきっかけで書を始め、伝統書と前衛書の影響を受けながら「書から成るモノ」を現代的に探求。建築図面やスマホカメラを起点とした作品も展開。主な展覧会に「ART SHODO EDGE」(2023年)、「Planning#2」「GENGO展」(2024年)、「Congentecton」(2025年)など。
山本尚志
山本尚志
Hisashi Yamamoto
書家・アーティスト。1969年広島県生まれ、在住。井上有一カタログレゾネ制作に携わった後、2015年に初個展を開催。作品集『フネ』(2016)、『うごく木』(2024)を刊行。国内外での展覧会やアートフェアへの出展を重ね、精力的に活動。主な収蔵先に桃園市立美術館。

ABOUT EXHIBITION

展覧会

企画展「書の地形学」【東京】

会場

YUGEN Gallery
東京都港区南青山3-1-31  KD南青山ビル4F

会期

2025年4月25日(金)〜5月12日(月)

開館時間

平日:13:00〜19:00
土日祝:13:00〜20:00
※最終日のみ17:00終了

休館日

なし

レセプション日程

①オープニングレセプション

日時:2025年4月26日(土) 18:00〜20:00

②トーク

日時:2025年5月10日(土) 18:00〜19:30

登壇者:山本尚志(本展出展作家)、清水 穣(美術評論家)

在廊日

4月26日(土)

※変更となる場合がこざいます。最新情報は随時ギャラリーInstagramにて更新いたします。

入場料

無料

注意事項

※状況により、会期・開館時間が予告なく変更となる場合がございますのでご了承下さい。