ARTIST INTERVIEW
1980年から90年代に韓国に生まれた同世代アーティストが起点とするのは世界の複雑さや個人が抱く劣等感ーコンプレックス。ソウルを拠点とするアート・コレクティブC.P.S(Complex Seoul)が示すのは「個人の物語」への希望である。リーダー的存在のジュ・ジェボムに話を聞いた。
ABOUT ARTIST
「嗜好の肖像」という制作観をもとに、ユーモアとウィット、言葉遊びを織り交ぜたテーマを秩序とバランス、そして変奏(ヴァリエーション)によって表現する。ポップアートを基盤としたビビッドでキッズライクな感性を特徴とし、成熟と無垢、自由さと繊細さといった相反する要素が同居する自己の両義的なありようや、内面の矛盾や揺らぎを、加工せず、そのままのかたちで作品へと映し出している。
ペインティング、立体、グラフィック、映像など、多様なメディアを横断して活動。展覧会の開催をはじめ、ブランディングや企業・ブランドとのコラボレーションまで、ジャンルを超えた実践を行っている。
都市と日常、個人の趣向をテーマに「お土産(Souvenir)」をモチーフに制作。特に好んで使用する「ステッカー」の形式を借りて、明快で楽しいアートワークを生み出している。
ステッカーを単なる商業的なプロダクトとしてではなく、個性や物語を内包した「小さな芸術作品」として位置づけているのが特徴である。
グラフィックデザインスタジオのディレクターであり、アーティストとしても活動。さらに、ブランドとのコラボも行う、ソウル拠点のアートスーベニア・プラットフォーム「Seoul Sticker Shop」を運営。
ペンと筆を使い、旅や日常の中で出会った風景に空想のキャラクターや物語を加えて絵を描く。
作家自身は、幼い頃から無愛想な表情によって誤解されることが多かったが、作品に登場するキャラクターたちは、複雑で多彩な世界の中を自由に、そして楽しげに生きている。
どこか羨ましさすら感じさせるその姿は、自然体であり、幸福そのもののように映る。現実に非現実的な要素を織り交ぜながら、時には世界を風刺し、時には人間の痛みや温かさを描き出す。
ピクセルという小さな単位を通じて、多様な形と感情を表現する。
人間の存在は、記憶や感情といった微細な断片の集合体であり、日々ふと立ち上がる情景や感情の揺らぎが、個をかたちづくっていく。そうした思いのもと、作品を制作している。
無数の断片が織りなす「個人の物語」と同様にひとつひとつの経験や想いが、ピクセルのように重なり合い、やがて一枚の人生の絵となる。作家はその繊細な集積を、丁寧にすくい取り、かたちにしていく。
都市を歩き、観察し、日常に溶け込んだ風景をペン画と写真で記録。目立たない風景の中の違和感やユーモアに興味を持ち、ふと目にとまるものや気になる光景を手がかりに、都市の物語を描き出している。
「City Trekker」としての作家は、都市という複雑な生態系のなかで、個人の感情やアイデンティティを探っていく。作品を通じて、自身の感情を確かめたり、その輪郭を探し出したりすることが、制作の原点となっている。
ABOUT EXHIBITION


展覧会
C.P.S(Complex Seoul) グループ展「COMPLEX」【福岡】
会場
YUGEN Gallery FUKUOKA
福岡市中央区大名2-1-4 ステージ1西通り4F
会期
開館時間
11時〜19時
※最終日のみ17時まで
休館日
毎週火曜日
レセプション日程
在廊日
入場料
無料
注意事項