KUROismー現代アーティストが見立てる茶道の世界ー

2024.5.10 (Fri) - 2024.5.19 (Sun)

YUGENGalleryでは5月10日(金)〜5月19日(日)の期間、グループ展「KUROismー現代アーティストが見立てる茶道の世界ー」を開催します。

人生は陰陽の連続、さまざまな色彩に包まれた時間… 
 そのすべてを黒の中に見ることができるのではと感じている。
 感情や言葉の中にある黒。艶やかな黒い光沢の奥に広がる宇宙…
 それは私達、表現者が心奪われた“KUROism”なのです。

                  ー EDO AND YUMEKA


現代作家、EDO AND YUMEKA(エド・アンド・ユメカ) の呼びかけに応じて集まったフィールドも経歴も異なる作家たち。石の街、愛知県岡崎市で三代続く石屋で伝統的な石製品を手がけながらアート作品を発表しているYASUTAKA ISOGAI、現代のポップカルチャー的要素と伝統的な木彫を融合した作品を発表する彫刻家・淺野健一、BMWのヴィンテージバイクのレストアを手がける鉄職人・art's gaze 仁、そして「折衷主義ーeclecticismー」をコンセプトに古着をほぐし一点物のワードローブを作り出すファッションデザイナー・KOH ISHIGUROの計5名によるグループ展。期間中、アスリート陶芸家であり遠州流茶人の山田翔太による茶会も開催します。

展覧会情報

会場

YUGEN Gallery
東京都港区南青山3-1-31  KD南青山ビル4F

会期

2024.5.10 (Fri) - 2024.5.19 (Sun)

開館時間

平日:13:00〜19:00
土日祝:13:00〜20:00
※最終日のみ17:00終了

休館日

なし

在廊日

5月10日(金)、11日(土)、12日(日)、18日(土)、19日(日)

入場料

無料

注意事項

※状況により、会期・開館時間が予告なく変更となる場合がございますのでご了承下さい。

展示作品ハイライト

※展示作品は一部変更となる場合がございます。ご了承ください。

オリジナルグッズプレゼント!来場登録について

 ※受付を終了いたしました※

ステートメント

茶道と黒。関係性の美学

本展をキュレーションするEDO AND YUMEKAは、茶室の空間演出を手がけるなどかねてから茶道に関心を寄せてきました。特にEDOは近年、職人に教えを請いながら黒檀や黒柿の木から削り出して茶道具を作るようになったといいます。今回は抹茶椀や茶杓を制作。 

 茶会で一連の手順を通じ精神の集中と静寂を促す。「侘び寂び」といった日本の美学原理なるものに満ちた茶道と内省や静けさを宿す黒色の関係性から芸術の可能性を探ろうと企画したのが本展「KUROism」。日本文化において厳粛の象徴とされる黒色を基調とした、現代アーティストと職人のコラボレーションによる茶道具を展示します。 

 展示会場には二畳ほどの茶室空間を設け、YASUTAKA ISOGAIによる石の棗(なつめ)、ART'S GAZE 仁 の鉄製の茶釜と花瓶といった茶道具、そして、KOH ISHIGUROがヴィンテージウェアから再構築した羽織が置かれます。また、茶室から眺める外景として淺野健一の男性器を象った木彫作品、art's gaze 仁のレストアした黒一色のBMWのヴィンテージバイクといった量感溢れる作品が並べられます。 

 「普段は祈りの対象を作ることが多く、目に見えないものを必要としている人の想いに応えられるように努力している」とYASUTAKA ISOGAIが話すように日本的感性が研ぎ澄まされた職人の手仕事、視線の先に祈りがあることをしかと感じることがでます。

非日常としての芸術を再構築

黒をテーマにした作品制作の構想をずっと抱いていたというEDO。その関心は画家であった父親によるキャンバスを埋め尽くすほどの鴉の群れを描いた作品、そして幼少期に観た山海塾の天児牛大に影響されていると話します。特に、暗闇に現れた白塗りの天児牛大の舞踏は彼の創作テーマである「エロスとタナトスの間にある希望」の源泉となり、以来、黒は彼の意識に深く根をおろしています。 

 天児牛大は演劇評論家・渡辺保との対談(※)で全身を白塗りにする理由を問われ、白色とは日常から非日常への入り口のようなイメージがあり、白塗りにすることで人間としての存在が際立つと答えています。そして、人間とは終わりがある非連続の存在であり、その身体の外側は川の流れのような連続性があるとし舞踏を通して永遠性を表現していると語りました。 

 天児の考えからは日本における「ハレ」と「ケ」、陰陽論といった観念を見て取ることができ、人間は連続する日常に漂い、非日常に対して開かれた存在であることを知ります。普段の日常とはっきり異なる行動洋式を選び、生物的でなく文化的快楽を満たす茶道は、その実践といえるでしょう。 

 「今を生きる表現者が見立てた芸術としての茶道。日常の隙間にある非日常としての茶道。現代社会では芸術や文化を日常とし、生活の一部にまで発展してきました。それは、生活の彩りとしては必要なことですが、非日常としての芸術や文化もまた必要な体験だと疑いません。日常の隙間…非日常をドキドキとしながら覗く作家の手から生まれるモノ、空間。隙間の奥に広がる世界を感じて頂きたい」(EDO) 

 黒楽茶碗を愛した千利休は「赤は雑なる心なり、黒は古き心なり」と残し、黒にこだわったことはよく知られています。茶の湯という非日常から美的感性をもって世界の本質を見るのに「媚びない」不変の色の道具を必要としたといいます。

 非日常で偽善なるものを剥ぎ取り精神を自由に開くための「こび」のない色、黒。天児牛大の舞踏が示した不変の色に浮かぶ人間。私たちの心を開く、KUROismです。

レセプションパーティーについて

展覧会初日の5月10日(金)は16時〜20時の間、レセプションパーティーを開催します。 

 18時からは、アスリート陶芸家の山田翔太によるお茶会を予定しております。 

 参加者の方にはお飲み物もご用意しておりますので、みなさまのご参加をお待ちしております。

作品販売について

展覧会開催と同時にYUGEN Gallery公式オンラインストアにて、作品の閲覧・ご購入が可能となります。

ARTIST INTERVIEW

現代作家、EDO AND YUMEKA(エド・アンド・ユメカ)の独占インタビュー記事を公開しています。

ARTIST INTERVIEW - EDO and YUMEKA

伝統文化をアップデートし、私たちにとって芸術とは何であるのかを問い直す展覧会「KUROismー現代アーティストが見立てる茶道の世界ー」。キュレーションを手がけるEDO(EDO and YUMEKA)に展覧会について伺いました。

EDO and YUMEKA
EDO and YUMEKA
アンダーグラウンドカルチャーでのライブペインティング、ジュエリーデザインなどを手がけていたEDOと10代より独学で学んだ日本画をベースに油彩画等さまざまな絵画を制作する画家YUMEKAによるアートユニット。絵画のみならずプロダクト製作、茶道の空間演出など多岐にわたる活動を行っている。東京・ASPLUND/BAROOM/JMT CAFE 個展「SESSION」、愛知・Cafe CEREZA 個展「BACKSTAGE」(以上、2022年)、東京・YUGEN Gallery個展「​​​​NUDAVERITAS」(2023年)など。
YASUTAKA ISOGAI
YASUTAKA ISOGAI
1974年愛知県生まれ。彫刻専門の石加工、販売を手がける磯貝彫刻の三代目。金沢美術工業大学大学院修了。岡崎ストーンフェア岡崎市議長賞(2001年)、ドイツ・ニュルンベルグ「Stone+Tec 国際展示会」公開制作(2003年)、メキシコ・ハラパ ギャラリー ネブロッサ「 Are de KANAZAWA2004」出品(2004年)、アメリカ・ニューヨーク「N.Y.Coo Galleryグループ展」(2011年)など。
淺野健一
淺野健一
Kenichi Asano
1981年愛知県生まれ。 愛知県立芸術大学美術研究科彫刻専攻修了後、仏像修復に携わりながら作家活動を開始。日本の古典彫刻と幼少の頃から親しんできた漫画やゲームを融合した作品を発表。NHK デジタルスタジアム ヤノベケンジベストセレクション、第十三回岡本太郎現代芸術賞入選(2010年)、第八回円空大賞 円空賞受賞(2015年)。hpgrpgallery TOKYO 個展「monstrum」(2016年)、 銀座 蔦屋書店「MAREBITO」(2023年)など。
art's gaze 仁
art's gaze 仁
1985年愛知県生まれ。鉄作家。style.ZINTEC主宰。オートバイのカスタムや製缶業を経て、店舗向けの什器や小物製作を手がけ、ライフワークとしてBMWのヴィンテージバイクを題材に至高のレストアを追求。「art's gaze 仁」としてアート作品も発表している。愛知県・KAGOTA NO FAMILIAR 「BMW vintage racer custom」(2023年)
KOH ISHIGURO
KOH ISHIGURO
1985年愛知県生まれ。「KOH ISHIGURO」ファッションデザイナー。CFC中部ファッション専門学校在学中より友人とファッションブランドを立ち上げる。その後、AKIRANAKA・デザイナーの中章氏と出会い、教えを請う。錬金術のように使い古された価値を現代へ結びつけるべく、古着やヴィンテージウェアからリメイクではなくハイブリッドな一点物を表現している。
山田翔太
山田翔太
Shota Yamada
アスリート陶芸家。銀座・靖山画廊所属。10代から独学で陶芸を始め、遠州茶道宗家の直門で茶の湯の世界を学ぶ。遠州流茶道・準講師「宗道」として活動。アスリートとしては14年間のラグビー競技歴があり、現在はトライアスロンやトレイルランニングをライフワークとしてレースに出場。lululemon, Millet等のブランドアンバサダーも務め、スポーツとアートをつなぐべくアウトドアフィールドでの茶会やイベントを国内外で開催している。