
葉朗 個展「HELL/Oh!」
2022.07.20(Wed) – 2022.07.25(Mon)
YUGEN Galleryにて2022年7月20日(水)〜7月25日(月)の期間、“モノ・サイケデリック”アーティスト葉朗の個展「HELL/Oh!」を開催します。
「地獄で何を見つけたかい?」
混沌の時世をスキップでサヴァイヴ。嚙みしめて感じて、拾う間も無く忘れ。
人生を狂わす破壊と略奪が、発光する板一枚隣で繰り広げられている世界で笑って、語るように無言で踊る。
政治や宗教、哲学や愛を信じる前に自分を強く強く信じ、日々の幸せ/不幸せをより一層深く知覚し、嚙みしめる。
見えないモノに脳を震わせ、見えるモノはどんどんとスピードを増し、ディティールは消失し、本来持つ色、匂い、輪郭すらも危い時代。
皆様いかがお過ごしでしょうか?
(葉朗)
白と黒のサイケデリック実験
高校生の頃、1960年代に世界を席巻したサイケデリック・ムーブメントを彩ったロックコンサートのポスター集を手にとったところから、サイケデリックカルチャーに関心を持つようになります。大学を休学し渡英、「スウィンギング・ロンドン」の系譜を現地で確かめ、人の想像をかき立てる混沌とした表現にのめり込みます。
「ゼロから1を生み出す創作は奇跡的なこと。1を2、3…10と拡大していくのとは明確に違う。でも自分の場合は、1を拡大させる、考え方を飛ばすことに面白味を感じている。視点の位置をずらし、組み合わせを変えて眺める“トリップ”が創作活動において大事な考え方」と話します。既存の価値体系の軸をずらして、物事を眺めるものさしとしてサイケデリックアートを捉えます。
極彩色で展開されるイメージのサイケデリックアートにあって、葉朗は白と黒の2色のみで表現する「モノ・サイケデリック」を提唱します。「白はすべての色を内包している」ことから観る者によって違う色が浮かび上がるとし、シンプルを突き詰めたサイケデリックアートがもたらすインパクトを考察し、実践を続けています。
なくならない戦争を思考する
葉朗はその思考実験でストレス発散のようにして壊すことが目的になっていくさまを目の当たりにします。壊すことに快感を感じるのも人間であり、日常生活で表出しない人間の心理を解放するのが戦争。それがゆえに戦争はなくなることはないと気づきます。
これはハンナ・アーレントがナチによる大量殺戮は行政の職務命令として遂行されたことに怖れ「人間にとって人類がいかに重荷であるかが日に日に明らかになっていく」と遺したこととも通じます。
復興ではない「再生」を問う
「戦争は“人が作る地獄”です。どんな時代であっても、残念ながら戦争は止まず、生き残った人々はその地獄の中で命を燃やし、ひとつずつ未来を手で積み上げることで悲惨な状況から脱却し、復興を成しえてきました。その地獄で何を見つけて、再生させていくのか?」
戦争が起きたことが信じられないくらいの復興を世界は成し遂げてきました。しかし、復興という幸せの現実で見えなくなった不幸せもあり、戦争が起こってもリアルに受け取れない私たちが生まれ育ってもいます。
日常で起こっている目の前の出来事、その外側には別の認識がある。それを探究するのがサイケデリック。葉朗はそれにより「見えないモノに脳を震わせ」「輪郭すらも危うい」世界の再生を問いかけます。
本展の展示では平面作品のほか「HELLO!!! BUSTERS!!!!!!!!!!」同様、大型コラージュ作品を会場で破壊、略奪し「戦争を体感する」観客参加型作品「HELL/Oh!」を用意。また、破壊した作品の気に入った部分だけを切り取って、持ち帰ることができるインタラクティブ作品「C/U/T」(※1)、Tシャツなどにシルクスクリーンプリントでワンポイントデザインを施すライブスクリーンコーナー(※2)も設置。これらの試みで来場者が葉朗の世界観を再コラージュし、拡大していくことになります。会期中、毎日在廊する予定の葉朗は、これらを通して来場者ひとりひとりと対話し、その交流によりインスタレーションが完成すると信じています。
正義も悪も入れ替わり、バラバラに見えるようですべてがつながり、しかし次の瞬間意味も関係も断絶される世界。糊やハサミで切り貼りするアナログの手法でバラバラの性質、ロジックを並び置く葉朗のコラージュ作品は、世界は常に変幻するノイジーな実体であることを直観させ、私たちに生きるリアリティを獲得させようとするのです。
※1 持ち帰る部分の大きさによって料金が違います。料金1,000円~。
※2 料金500円
展示作品

PHANTOM001

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※展示作品は一部変更となる場合がございます。ご了承下さい。
作品販売について
展覧会開催と同時にYUGEN Gallery公式オンラインストアにて、作品の閲覧・ご購入が可能となります。
来場者限定オリジナルステッカー

ご来場時にアンケートフォームよりご回答頂いた方限定の特典となりますので、奮ってご回答ください。
参考文献
『アーレント政治思想集成 1』(ハンナ・アーレント著 斎藤純一 他訳/みすず書房)

葉朗
HARO WORKSHOP
シルクスクリーンプリンター/グラフィックデザイナー 広島在住。雑誌の様な興味の固まりを少しづつ発射させては、次々と”諦めて”行った末のサイケデリア考察渡航船乗組員。特殊漫画大統領・根本敬の自家ブランド「家作」所属。アートワーク・デザインは「葉朗」、シルクスクリーンプリントは「HARO WORKSHOP」として活動中。近年はサイケデリックな世界を白と黒の光学デザインのみで構成する「モノ・サイケデリック」をテーマにコラージュ作品を製作。好きな花はクリサンセマム・パルドサム。
作家ページへ会期
2022.07.20(Wed) - 2022.07.25(Mon)
会場
YUGEN Gallery
住所
東京都渋谷区渋谷2-12-19 東建インターナショナルビル3F
開館時間
平:日14:00 〜 19:00
土日:13:00 〜 19:00
※最終日のみ17:00終了
作家在廊日
全日
休館日
なし
入館料
無料
注意事項
※状況により、会期・開館時間が予告なく変更となる場合がございますのでご了承下さい。