中村穣二 個展「CANDY」

2024年1月26日(金)〜2月5日(月)

YUGENGalleryでは2024年1月26日(金)〜2月5日(月)の期間、中村穣二の個展「CANDY」を開催します。

展覧会情報

会場

YUGEN Gallery
東京都港区南青山3-1-31  KD南青山ビル4F

会期

2024年1月26日(金)〜2月5日(月)

開館時間

平日:13:00〜19:00
土日祝:13:00〜20:00
※最終日のみ17:00終了

休館日

なし

在廊日

2月2日(金)15〜19時
2月3日(土)14〜19時

入場料

無料

注意事項

※状況により、会期・開館時間が予告なく変更となる場合がございますのでご了承下さい。

展示作品ハイライト

※展示作品は一部変更となる場合がございます。ご了承下さい。

来場者特典のご案内

ご来場時にアンケートフォームよりご回答頂いた方限定で、オリジナルアートブックを無料でプレゼントします。

展示作品や展覧会ステートメントが1冊にまとめられた、本展のみのオリジナルアートブックです。

中村穣二 写真展「CANDY」アートブック

収録アーティスト:中村穣二B4変型/定価1,650円(税込)    

※アートブックのデザインは一部変更となることがございますのでご了承ください。

ステートメント

時間と空間のイリュージョン

絵筆を使わず指に絵具をつけ、具象めいた人物画や静物画を描く画家、中村穣二。MikikoFabiani(フランス)やKaplanprojects(スペイン)といったヨーロッパのギャラリーがこぞって作品を取り扱いパリ、オランダ、台湾とグローバルに作品を発表しています。本展「CANDY」では、絵画作品を約20点展示。

1974年生まれの中村はパンクミュージックに影響を受け、思春期に通い詰めていたライブハウスで「楽器を持つよりも」フライヤーに興味が湧き、見よう見まねでコラージュ作品を作り始めます。その後、留学先のアメリカで出会った同世代の人間が自由に創作していることに刺激を受け、アーティストを志します。

 1990年代後半、バリー・マッギィらパンクに通じるストリートアートのDIY精神に感化され、帰国後の2000年から本格的に活動を開始。アメリカで出会ったストリートアートのムーブメントを日本で作るべく、雑誌の編集部や美術関係者にアプローチします。しかし、そこには相いれないものがあったと当時を振り返ります。 

「90年代当時、アメリカではジェフリー・ダイチがそれまでただの落書きだとされていたストリートアートの展示を大きな規模の美術館で実現しているいっぽうで、日本の美術関係者はストリートアートの動向なんてまるで気にしていなかった。会って話しても全然会話が噛み合わなくて、“この時差は何なんだ?”って愕然としました」

筆を使わず指で描く肖像画

本格的な美術教育も受けておらず、「ごりごりのストリートアートでもない」自分が画家としてどこまでいけるか。当初はコラージュ作品も手がけていたものの「面白い写真を集めることが目的になっていた」ことにわだかまりがあり、ペインティングに注力。向き合ったのは絵画の自律性といえるものでした。  

しかしながら、筆をうまく使うことができずイメージ通りに描くことができないことに悩んだといいます。そんな折、前衛美術集団である〈具体美術協会〉、特に白髪一雄のフット・ペインティングに衝撃を受け、指で描く現在のスタイルを思いつきます。  

中村は好きな画家にピカソやモディリアーニを挙げ、そうした画家たちの絵画作品には自立した存在感を感じると話します。芸術作品とは外界の何物かの姿を真似るのではなく、人間や自然物のように、そのものでしかない形をとった存在である。中村のカラフルな配色と指先からのダイレクトなストロークで描かれるフォルムに官能性と生命力を感じるのは、そうした意識が強く反映されているからでしょう。

 

自身の作風を模索しながら活動を始めた頃は、白と黒の絵具のみによる量感のあるモノクロームの抽象表現を特徴としていましたが、使う色数は増え色彩も豊かになり、近年は中村が「これがなくなったら絵が描けなくなる」と話す絵具《ネープルスイエローグリーン》を基調とした微光をたたえた奥行きのある作風を特徴としています。    

純粋な視覚体験としての絵画

本展のタイトルは、制作時に聴いているジャズ・トランペッター、リー・モーガンの同名のアルバムから取られたもの。「展覧会のタイトルを決めなきゃいけない日にも聴いていて、誰もが読めパッとわかるものがいい」というだけで、特に意味はないと話します。   

「絵の存在があるだけで、壁に掛けた瞬間からコミュニケーションが生まれると思っていて作品には意味は持たせない」  

  「西洋絵画のちょっとくすんでいて重厚な感じ。ああいった作品を描いていた人たちが、これだけ絵具の種類がある現代に生きていたら、どんな絵を描くんだろう? って考えるんです。ピカソなら蛍光色を使うかも、といった想像をしながら歴史的な肖像画や人物画の現代版を描いてみたい」   

以前、フランスのアートフェアで作品を観た人に「子供の頃のことを思い出して感動した」と声をかけられたことが、今でも記憶に残っているという中村。生まれた国も違い、想い出がどんなものなのかはわからないけれど本当に嬉しかったと話します。   

下絵も作らず描き始め、現実の対象をモデルとしていない肖像画は、観る者の想像力に働きかけて様々なイメージを喚起、暗示します。中村の作品は、絵画の本質が純粋な視覚性にあり、人間を理性という支配から解放する時間と空間のイリュージョンであることを直感させます。

作品販売について

展覧会開催と同時にYUGEN Gallery公式オンラインストアにて、作品の閲覧・ご購入が可能となります。

中村穣ニ
中村穣ニ
Joji Nakamura
なかむら・じょうじ/画家。1974年神奈川県横浜市出身。アーティスト加賀美健とのコラボレーションやブックレーベル「K.M.L.BOOK」運営、作家集団「SSS」のメンバーとしてのパフォーマンス、ZINE制作etc.多岐にわたって活動。作品集に『JojiNakamura:BLACKDISCOVERY』(Partizan25)がある。