藝の生態系 ― 種・育・華 ― 【東京】

2026年5月16日(土)〜6月7日(日)

YUGEN Galleryは、2026年5月16日(土)より、展覧会「藝の生態系 ― 種・育・華 ―」を開催いたします。本展は、「藝」という言葉の成り立ちに立ち返りながら、素材の扱い、工程の反復、表現への展開といった複数の側面から、技がどのように成立しているのかを捉え直す試みです。

展覧会情報

会場

YUGEN Gallery
東京都港区南青山3-1-31  KD南青山ビル4F

会期

2026年5月16日(土)〜6月7日(日)

開館時間

平日:13:00〜19:00
土日祝:13:00〜20:00
※最終日のみ17:00終了

休館日

なし

レセプション日程

内覧会:2026年5月15日(金)16:00〜20:00

                ※どなたでもご参加いただけます。

在廊日

池上 創/5月16日(土)

井川ゆきな/5月27日(水)、28日(木)

竹内まみ/5月30日(土)

入場料

無料

注意事項

※在廊日やレセプションについて、最新情報は随時こちらで更新いたします。
※状況により、会期・開館時間が予告なく変更となる場合がございますのでご了承下さい。

展示作品ハイライト

ステートメント

素材・工程・展開という三つの相

「藝」はもともと、草木を植え育てる行為に由来し、素材を扱い、手を動かし、時間をかける中で成立する技を指す言葉です。

本展では、この背景をもとに、技の在り方を三つの相から捉えます。素材の性質がそのまま現れる状態、反復や工程の積み重ねによって精度が生まれる状態、そして技法や形式が別のかたちへと展開される状態です。

ただしこれらは段階(プロセス)ではありません。ひとつの作品の中で同時に起きている現象として扱います。

本展には、井川ゆきな(陶芸)、池上創(吹きガラス)、袁方洲(キルンワーク/立体ガラス)、金子司(萩焼)、高橋美衣(陶の立体造形)、竹内まみ(沖縄紅型染色)が参加いたします。


素材がそのまま現れる「あらわな技|素」

井川の陶芸は、単色の釉薬と丸みを帯びた造形によって、素材とフォルムの関係をそのまま表面化させます。装飾を抑えることで、形態の構造そのものが前面に現れます。

池上の吹きガラスにおいても、溶解したガラスの流動性と重力、手の動きが一致した瞬間に形が決まります。素材の状態と身体の操作が分離されることなく現れる点が特徴です。


反復によって成立する「持続する技|熟」

袁のキルンワーク(立体ガラス)は、焼成の温度や時間を調整しながら工程を繰り返すことで、技を熟成させていきます。反復(熟練)の中で培われた技術によって、作品ごとに異なる色彩や形態が精緻に制御されます。

池上の吹きガラスにおいても、一つの造形は数秒のうちに成立しますが、その背後には繰り返しの練習があります。瞬間の操作の積み重ねが技術の成熟へとつながり、造形の精度として現れます。

金子の丸皿における墨流し(施釉)は、同様の動作を繰り返す中でパターンが生成される構造を持っています。反復そのものが形態を成立させる条件となっています。


伝統技法が現代のかたちへ展開される「開かれる技|展」

竹内の紅型は、型染めと彩色の工程を基盤としながら、染色を単なる装飾にとどめず、図像を構成する手段として用いています。染色は絵画として展開され、異なる質の表現を生み出します。

高橋の作品では、デッサンを起点とした造形が重視されており、既視感のある線やフォルムによって構成されるかたちの佇まいが前面に現れます。形態そのものの趣が作品の印象を決定づける要素です。

金子のキノコをモチーフとした作品は、萩焼の技法を基盤としながら、親しみのある造形として再構成されています。可愛らしいフォルムの中に、日本的な自然観が反映され、現代的なかたちとして提示されています。


位相の交差と循環としての「藝」

これらの作品において、「素・熟・展」は独立した分類として存在するものではありません。ひとつの技の中に複数の位相が同時に含まれ、その重なりによって技は成立しています。

素材がそのまま現れる局面においても、その背後には反復によって蓄積された技術があり、工程の積み重ねによって生まれた形態は、同時に表現として開かれています。各位相は固定されることなく行き来しながら、相互に作用し続けています。

こうした関係は、一方向の段階ではなく、循環する構造として捉えられます。素材、工程、表現は互いに影響し合いながら繰り返し更新され、その中で「藝」はかたちづくられていきます。

本展は、この重なりと循環の中にある技のあり方を、「藝の生態系」として提示します。

作家情報

井川ゆきな:陶芸家、円山陶房所属 Instagram
池上創:吹きガラス作家 Instagram
袁方洲:ガラス造形作家 InstagramHP
髙橋美衣:立体作家(陶) Instagram
竹内まみ:沖縄紅型(染色) Instagram
金子司:陶芸家(荻焼)Instagram

井川ゆきな
井川ゆきな
Yukina Igawa
2015年に北海道芸術デザイン専門学校を卒業。下沢敏也氏に師事。円山陶房専任講師。 単色の釉薬と丸みを帯びた造形によって、素材とフォルムの関係をそのまま表面化させる。装飾を抑えることで、形態の構造そのものが前面に現れる。
高橋美衣
高橋美衣
Mie Takahashi
1994年北海道生まれ。 2017年に横浜美術大学工芸領域 卒業 鎌倉市を拠点に活動。 日々何気なく描き続けている落書きの線や形からヒントを得た立体作品の制作を行う。 高橋の中に蓄積された、計り知れないほどの見てきたものが凝縮された「かたち」。 どこか懐かしさを孕む新たな「かたち」。 抽象的な「かたち」で色鮮やかな作品は、テラコッタや樹脂をベースにオリジナルの塗料で塗装し、グラデーションや釉薬で仕上げている。
竹内まみ
竹内まみ
Mami Takeuchi
1992年大分県生まれ。 2018年沖縄県立芸術大学大学院 造形芸術研究科生活造形専攻工芸専修染研究室 修了。2019年 同大学非常勤講師。 日常の中で取りこぼされてゆく記憶や感情の断片を、波や光といった揺らぎのあるモチーフを通してすくい上げる。曖昧で形を持たないものを型染という染色技法を用いて作品にすることで輪郭を与え、見る人それぞれの記憶と静かに重なり合うような表現を目指す。
金子司
金子司
Tsukasa Kaneko
かねこ・つかさ/陶芸家。 1970年山口県萩市生まれ。萩市を拠点に活動。墨流しなど伝統的な技法でキノコをモチーフにした萩焼の作品を制作。2009年カルロザウリ美術館(イタリア)にて滞在制作、2010年「きのこアート研究所展」広島市現代美術館、2019年「くさびら・くさぐさ 金子司 陶展」山口県立萩美術館・浦上記念館など国内外で活動。 萩焼の技法を基盤としながら、親しみのある造形として再構成されている。可愛らしいフォルムの中に、日本的な自然観が反映され、現代的なかたちとして提示する。
袁方洲
袁方洲
YUAN FANGZHOU
中国遼寧省生まれ。2018年清華大学美術学部工芸専攻を卒業後来日。2020年東京藝術大学大学院工芸科修士課程修了。現在、東京藝術大学大学院工芸科博士後期課程に在籍、東京を中心に活動している。人・物・自然の関係性に着目し、ポスト・ミニマリズムや仏教などの東洋思想に影響された自身の哲学に基づき、ガラス素材を中心に、立体、絵画、映像など複数のメディアと技法を交錯させる作品を展開している。
池上創
池上創
So Ikegami
2024年 富山ガラス造形研究所研究科卒業、2024年に多摩美術大学工芸学科ガラス研究室副手、現在は多摩美術大学工芸学科ガラス研究室助手。 一つの造形は数秒のうちに成立するが、その背後には繰り返しの練習がある。瞬間の操作の積み重ねが技術の成熟へとつながり、造形の精度として現れる。