ARTIST INTERVIEW

深遠な自然美を思わせ、生命のダイナミズムが迫ってくる抽象絵画作品を発表する画家・TAKUYA SUGIYAMA.の独占インタビュー。
「生命のダイナミズムを解像度高く」
TAKUYA SUGIYAMA 個展「Reincarnation」<2024年7月20日(土)〜8月6日(火)>

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一枚の絵画から連鎖反応によって作品が生まれ、互いに影響し合うように構成されるスギヤマタクヤの個展「Reincarnation」。自身にとっても初めての試みが詰まっているという本展に込められたものとは? スギヤマタクヤに聞いた。

ーー 創作に関して影響を受けたものはありますか?

スティーブ・ライヒの《ドラミング》(※)のコンサートがあります。この曲は演奏者が同じ旋律とリズムを繰り返し奏でるもので、「ここはちょっとサビだから聴かせてやろう」みたいな意図がなく自意識を徹底的に抑え淡々と演奏に没入している。自我の入る余地のない人間の姿が美しく、リズムが干渉し相互に影響し合い楽曲と一体化していく表現は祈りのようだと感じました。

ひとつの現象が連鎖的に別の現象を生み、相互に影響し合うことを描く絵画へのアプローチ、そして創作は自分の感情を発散したり、自己主張をするためにあるのではないという作家としてのあり方に大きな影響を受けました。

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ーー 現代音楽で不協和音のようにも思える音同士が隣り合わせるうちに「響き」になるように、スギヤマさんの作品も色同士が出会い、一体化していきます。

今回は具象と抽象の間にある絵にフォーカスしようと、モチーフは具体的な題材をとっています。本来は単純に描きやすい画材で写実的に描けばいいだけなのですが、僕が使っているアルキド樹脂という塗料は、キャンバスの上で流動して広がってしまい色もどんどん混ざってしまう扱いづらい画材。

例えばカエルを描いているのに色が滲んでよくわからない模様になっていくようなモチーフを描いているのにモチーフが見出せなくなることがよく起こる。だからモチーフに対しては徹底的に向き合わざるを得ない。対象への集中が結晶化していって絵になる感覚があり、そこにこそ美しさがあると感じます。(絵としての)解像度が上がるほど生々しさ、生命感が強く表れてくるんです。

アルキド樹脂という塗料は波のようなものだと思っていて、不確定なところが面白い。この塗料で絵を描くのはサーフィンに似ていて、サーフィンでも波をコントロールするなんて出来ない。波に乗ることは調和することだし、一体化しているからアクションが起こせる。色をコントロールしようにも、ただ放っておいても色は表れない。寄り添い調和することで美しい色が出るのだと改めて感じています。

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ーー 意図を排除する創作の真髄はそこにあるのですね。今回、絵を描くように展示会の構成を考えたそうですが、その背景を教えてください。

僕はキャンバスに向き合った瞬間に描きたいものが生まれてきて、描きながら完成形が見えてくる。完成図ありきではない。でも、これまで展示を作るとなった時には、まずコンセプトを立て要素を積み上げるように構築してきた。絵とは真逆のアプローチです。環境デザインを学んだ経験があるからなのですが、概念に縛られていたのだと気づき、そこも解体しようと。

舞台の演出や脚本を手がけたこともあり、今回は絵からインスピレーションを得た言葉を作品にもしています。ただ、最初にお話を作ってしまうと言葉に絵が引っ張られてしまうので、描く中で浮かんできた言葉を意味に囚われずに組み合わせていきました。

音や光など展示会場にしても常に同じ瞬間はない。日々変化していくわけで、具象と抽象の間にある作品が生まれ、作品たちが自発的に接近し、新しい物語になっていけばいいと考えました。

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ーー 意味を離れた言葉の組み合わせは、まさに抽象絵画そのものです。今回の展覧会は、作品が反応し合い、結晶化していったというイメージですが、タイトル〈Reincarnation〉の意味は「輪廻、生まれ変わり」。その心は?

僕は生きとし生けるものは、すべて現象だと捉えている。今回、展示の仕掛けとして会場の中央位置に生花を据えています。3週間ほど展示期間があるので当然、変化していきます。この時、枯れゆくまでの時間は死のプロセスと思えるかもしれない。でも、花が咲いているのはどの時点までで、どこから枯れるのかということは実は誰も切り分けできないのではないか。

人間の死へのプロセスも生きていることと死んでいることが同時に起きていると思っています。そうすると動植物、自然そして人間といった境界は消えていく。動物と植物、生と死という風に区分して認識するのが概念。概念をもつことで生命のダイナミズムは狭められてしまう。もっと広くて自由なものであるはずです。

輪廻とは死によって肉体が消滅し、魂が他の肉体に乗り移り生まれ変わることだと言われます。でも僕は、生命という現象が影響し合って新たな現象が生まれ、うつろいゆくのが輪廻だと捉えている。そのうねりが生命力とか生命感というイメージ。そんな風にスケールの大きな生命感を感じ取ってもらえたらうれしいです。

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ルールから離れて色や形そのものとダイレクトに出会い、心と身体の動きそのものを面白がる。その時、私たちは生命という現象の輝きを察知する。生命感の解像度を高めるスギヤマタクヤの個展「Reincarnation」は、7月20日(土)〜8月6日(火)の期間に開催。

※1971年にスティーブ・ライヒが作曲。9人の打楽器奏者と2人の歌手、そしてピッコロ奏者によって演奏される。

ABOUT ARTIST
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TAKUYA SUGIYAMA.

スギヤマタクヤ

画家。1987年神奈川県出身。多摩美術大学環境デザイン学科卒業。アメリカ・ニューヨーク「AGORA GALLERY」にて作家活動を開始。絵画作品を発表するのと並行し、アパレルブランド〈TAAKK〉、〈MIDIUMISOLID〉とのコラボレーション、東急プラザ銀座のセレクトショップ「MARcourt DESIGN EYE」の 店舗ディスプレイ等を手がける。近年は、「ピンクとグレー」(監督:行定勲)、第28回東京国際映画祭スプラッシュ部門作品賞受賞作である「ケンとカズ」(監督:小路紘史)といった映画に俳優として出演。舞台の脚本・演出も手がけるなど活動は多岐にわたる。2023年、東京都現代美術館でのAMERICAN EXPRESS主催イベント「BEYOND by Platinum」ではインスタレーション、アートワーク、音楽制作を担当。

作家ページ
ABOUT
ARTIST
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TAKUYA SUGIYAMA.

スギヤマタクヤ

画家。1987年神奈川県出身。多摩美術大学環境デザイン学科卒業。アメリカ・ニューヨーク「AGORA GALLERY」にて作家活動を開始。絵画作品を発表するのと並行し、アパレルブランド〈TAAKK〉、〈MIDIUMISOLID〉とのコラボレーション、東急プラザ銀座のセレクトショップ「MARcourt DESIGN EYE」の 店舗ディスプレイ等を手がける。近年は、「ピンクとグレー」(監督:行定勲)、第28回東京国際映画祭スプラッシュ部門作品賞受賞作である「ケンとカズ」(監督:小路紘史)といった映画に俳優として出演。舞台の脚本・演出も手がけるなど活動は多岐にわたる。2023年、東京都現代美術館でのAMERICAN EXPRESS主催イベント「BEYOND by Platinum」ではインスタレーション、アートワーク、音楽制作を担当。

作家ページ
ABOUT EXHIBITION
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会期

2024.7.20 (Sat) - 2024.8.6 (Tue)

会場

YUGEN Gallery
東京都港区南青山3-1-31 KD南青山ビル4F

開催時間

平日:13:00〜19:00
初日・土日祝:13:00〜20:00

※7月20日(土)は招待客のみの限定プレビューとなります。
※状況により、会期・開館時間が予告なく変更となる場合がございます。ご了承下さい。

休館日

なし

在廊日

会期中毎日

入館料

無料

注意事項

状況により、会期・開館時間が予告なく変更となる場合がございますのでご了承ください。

個展詳細ページ
ABOUT
EXHIBITION

会期

2024.7.20 (Sat) - 2024.8.6 (Tue)

会場

YUGEN Gallery
東京都港区南青山3-1-31
KD南青山ビル4F

開催時間

平日:13:00〜19:00
初日・土日祝:13:00〜20:00

※7月20日(土)は招待客のみの限定プレビューとなります。
※状況により、会期・開館時間が予告なく変更となる場合がございます。ご了承下さい。

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なし

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会期中毎日

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無料

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