EDO and YUMEKA exhibition feat.SUSIESVELT “NUDAVERITAS”
2023.04.01(Sat) – 2023.04.06(Thu)
YUGEN Galleryでは2023年4月1日(土)〜4月6日(木)の期間、EDO and YUMEKAの個展「NUDAVERITAS」を開催します。
クリムト作品から着想したシリーズ
本展タイトルは19世紀末のグスタフ・クリムトの作品『NUDA VERITAS (ヌーダ・ヴェリタス/裸の真実)』から取られたもの。同作に記されているフリードリヒ・フォン・シラーによる「少数でも真実を理解している人に向けて美を妥協なく追求する」との趣旨の言葉に触発され生み出した新作21点。加えてバッグブランド〈SUSIESVELT(スージースヴェルト)〉とのコラボレーションによるバッグ2点も展示します。
絵画に見た人生の光
YUMEKAは1977年愛知県生まれ。着物の仕立屋であった祖母、洋裁や手芸が得意だった母に趣味として絵を嗜んでいた父と創作が日常的にある家庭に育ち10代の頃より日本画を学び始めます。1998年の公募展での受賞をきっかけに本格的に絵画制作に取り組み、2009年には岡崎市美術館で初の個展を開催。ここでEDOと出会います。
出会いの時ふたりは人生においてどん底にあったといいます。EDOは仕事に行き詰まり、体調も崩したことで生活も困窮。初の個展という晴れがましい機会をもてたYUMEKAも当時病を患っており、人生初となる個展も生きる励みになればと彼女の母親が提案したものでした。
YUMEKAが当時を振り返って「瞳がマットな黒色だった」と話すほど失意の日々にあったEDOは、何気なく河鍋暁斎の作品に着想を得た絵を描き上げたことから生きる目的を見つけ「絵に人生が救われた」といいます。その時偶然訪れたのがYUMEKAの個展だったのです。
YUMEKAは人生で初めての個展かつ一週間足らずの期間で2000人ほどの動員があり、多くの来場者に作品からエネルギーをもらったとの声をかけられ絵画のもつ力を実感。「それまで自分のためだけに描いていた絵が他の人の幸せや希望、日々の潤いになる」ことを知り、絵画制作に邁進するようになります。
「人生の暗い道をさまよっていて、光が差してきた」(YUMEKA)と話すように絵画によって起こった生の情動。その裏に分かちがたく貼りついていた死の欲動。「エロスとタナトス。その間にある希望」が彼らを絵画表現に向かわせます。
この時、ふたりはひと言ふた言程度しか言葉を交わしておらず点ともいえない接点で、お互いの印象は「生気を失った幽霊のような人」。しかし、生の実態も定かでなかったふたりは、その後一ヶ月のうちにそれぞれが訪れた場所で幾度となく遭遇。偶然が必然と思える出会いからユニットとしての創作活動が始まります。
「“今日これを観てしまった”といった偶然かつ必然性を創作において大切にしている。それがすベての始まり」(EDO)
下絵もなく色を入れていくYUMEKAの描法に見られるように偶然と無意識の行為が反映された作風は、ふたりの出会いの時点で決定されたといえるでしょう。
根源的な行為としての絵画
ドレスのスカートから覗くハイヒールを履いた艶かしい足、鋭利なナイフにも見えるハイヒールと口紅がランダムに描かれた作品。これらの具象画には、怖れが美へと変容する危うさの中に人間本来の美しさがあることを感じ取ることができます。
昔からハイヒールを描くことが多いというEDO。子供の頃、自宅で靴の行商人に母親がハイヒールを履かせてもらう光景が記憶にあるといいます。また、父親に連れられ観た山海塾の天児牛大の舞踏。これらは怖れとして彼の記憶に刻まれ、それがいつしか「美へと変わる」体験をしてきたと話します。
1950年代のポスターを思い起こさせるように描かれることで、怖れと美、エロスとタナトスの分かちがたさは日常の中に潜んでいることが示されています。
いっぽう具象画とは真逆に墨象(前衛書道)のように入る黒い筆跡が広大な奥行きを感じさせる抽象画には“色を塗る”、“線を描く”、“文字を書く”という人間の根源的な行為の痕跡がありありと見てとれます。
「父の影響で釣りが好きで自然界の生命と触れ合うことや木々や雲の流れ、色合いといった日常にある何気ない移ろいからエネルギーを感じ、それを常に出し切るという作業の繰り返し」(YUMEKA)
「YUMEKAのエネルギーがあまりにも強く、僕はその感情を容れる器を作っている感覚。しかし、知識や情報でかえって彼女の世界観を狭めているのではないかと迷うこともある」(EDO)
クリムトは最初期に寓意的な女性を描いた作品を多く残しています。それらは女性美に対する礼讃でありながら男性が近づくことができない永遠の謎めいた存在として描かれ、まさに怖れゆえの美を明示しているとされます。
ささやかな日常の美を純粋な感性で捉えるYUMEKAの画面に物語性や秩序を与えていく際の表現の葛藤を告白するEDO。それはパートナーであるYUMEKAに対する怖れかもしれず、そこに予感する美の気配。EDOにとってのヌーダ・ヴェリタスこそがYUMEKAであるとも捉えられ純粋と葛藤が芸術性、そして生命力を宿すことを知ります。
誰もが美しい世界へ
この詩は愛する女性を旅へと誘う恋愛の詩であり、その行き先に官能的で穏やかな光に包まれる美の世界を想像するもの。美の世界への誘いと読むことが出来ます。
あらゆる価値観が地滑りを起こしている現在、不安の中で私たちは生きています。不安や怖れを抱く人間が日々の暮らしを生き、ものを作る。正と邪、美徳と悪徳など相容れない価値観は分かちがたく、だからこそ宿る美。誰しもが美の世界へ辿り着ける。この裸の真実の願いとしてEDO and YUMEKAの絵画は描かれます。
展示作品
※展示作品は一部変更となる場合がございます。ご了承下さい。
展覧会初日の4月1日(土)は20時より bajra DAIKANYAMA にてレセプションパーティーを開催します。
レセプションパーティーでは、世界的スパークリングワインブランド 「BOTTEGA(ボッテガ)」のイタリアンスパークリングワインを提供いたします。
また、こちらのレセプションパーティーは招待制ではございませんので、どなたでもご参加いただけます。
皆様のご参加をお待ちしております。
bajra DAIKANYAMAの詳細
住所:東京都渋谷区鉢山町15-5 セダストーンヴィラ2F
HP:https://bajra-online.com/
Instagram:https://www.instagram.com/bajra_daikanyama/
作品販売について
展覧会開催と同時にYUGEN Gallery公式オンラインストアにて、作品の閲覧・ご購入が可能となります。
来場者特典のご案内
展示作品や展覧会ステートメントが1冊にまとめられた、本展のみのオリジナルアートブックです。
収録アーティスト:EDO and YUMEKA
B4変型/定価1,650円(税込)
展覧会
2017年
東京・ファイヤーキングカフェ 個展「Backstage」
東京・BIGI×EDO and YUMEKA 個展「NEW TRADITIONAL 」
東京・bajra 個展「パフューム展」
2022年
東京・ASPLUND/BAROOM/JMT CAFE 個展「SESSION」
愛知・Cafe CEREZA 個展「BACKSTAGE」
SUSIESVELT
名古屋を拠点に鞄や財布などのビスボークを手がけるレザー工房。総手縫いはじめステッチ、ライニングなど細部にまで至高の技術を投入。その品質の高さから三越、大丸松坂屋、伊勢丹で10年間に渡って常設されてきた。
「今回のコラボレーションはインライン的な新作の構想を練り始めていたタイミングとシンクロした自然発生的なもの」(スージースヴェルト/鞄職人・鈴木伸治) レザーには生後3ヵ月以内の仔牛の革である「ベビーカーフ」を染色を施していない状態で使用。きめが細かく柔らかな肌触りの最高級素材を自然に近い状態、つまりは裸の革を使用することで本展テーマに重ね合わせている。
コキーユ45/ヴィンテージテントから着想を得て背骨のように張り出した半円構造のクラブバッグ。
入念な磨きをかけた美しい輝きを放つファスナーなど細部にまで美を追求するモノ作りが本展テーマとシンクロしている。
W45×H32×D23cm(持手含まず)
EDO and YUMEKA
エド・アンド・ユメカ/アンダーグラウンドカルチャーでのライブペインティング、ジュエリーデザインなどを手がけていたEDOと画家のYUMEKAによるアートユニット。2009年スターバックスでの個展から2人での制作活動を開始。2014年以降は陶芸家、漆職人、ジュエリーやシューズ、バックなどコラボレーションも展開。ストリートカルチャーと伝統工芸をミックスした茶道の空間演出など多岐にわたる活動を行っている。
作家ページへ会期
2023.04.01 (Sat) - 2023.04.06(Thu)
会場
YUGEN Gallery
住所
東京都渋谷区渋谷2-12-19 東建インターナショナルビル3F
開館時間
土・日・祝 13:00〜19:00
※最終日のみ17:00終了
休館日
なし
在廊日
4月1日(土)13:00〜18:00
4月2日(日)13:00〜15:00
入館料
無料
注意事項
※状況により、会期・開館時間が予告なく変更となる場合がございますのでご了承下さい。